ビッグパイナップルのタンブリンマン

我々の定休日は平日だから家族で犬山が誇る遊園地「モンキーパーク」に行った時も人はまばらで、乗り物に乗る時も並ぶどころかほとんど貸切状態でむしろ動かしてもらうのがちょっと申し訳ないような気さえするくらいなのだけど、係のお姉さんたちはみんなとても感じよく迎えてくれて、2歳の息子は大好きなトーマスの乗り物に5回も乗って、もうずっとこのまま、オレはもうずっとこのままこうしていたいんだというような顔をしていたのだけど、せっかくだから色々みてみようと足を伸ばしたところに出会ってしまったのが「ビッグパイナップル」でした。

パイナップルのような気球状の物に青やピンクの猿がしがみついている乗り物が上下の動きを取り入れながら回転を続ける、よくある乗り物、なのだけど。

息子はトーマスの時ほどのトキメキはなかったようだけどそれなりに楽しんでいたようで、4周ほどしてそろそろ終わりかな、という時にそのなにか心に直接響くような音が、バイブスが、聴こえてきたのです。あぁ、これは、この音はなんやろか。いったいどこから聴こえてくるんやろかと残り少ない時間に焦りながらキョロキョロとその音の正体を探していたところ、暗くて狭い制御室の中でスタッフのおじさんがスピーカーから流れる音楽に合わせてタンバリンを叩いていたのが見えたのです。キレッキレの動きで叩くタンバリンが。

最初はもう本当にこんなことがあっていいんやろかと、こんな素敵な場面にこの平凡な人生の中で出逢うなんて、と心が浮き立って興奮して声にならず、入り口の近くで待っていた夫に目で合図を送ったら夫は全てを悟って静かに一度頷いてくれました。

暗くて狭い制御室で独り、ほとんどのひとに気づかれていないタンバリンを叩くおじさん。

その姿勢が本当にカッコよかったので乗り物から降りる時に「ありがとうございました。あ、あの、タンバリ、、、」と声をかけようとしたけれどおじさんは聴こえたのか聴こえなかったのか最後までは聴かずに次のお客様を迎えに行ってしまいました。やっぱり、最後までカッコよかった。

他の乗り物はほとんど人が居ないところも多かったけど、「ビッグパイナップル」はよくある乗り物だし特にわかりやすいキャラクターが付いているわけでもないのに比較的人が多かったのはあの暗い制御室で誰にも気づかれずにおじさんが叩くあのタンバリンがそのバイブスをアゲているからだと、私は信じています。



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