お店を体験するということ
「いい飲食店」の条件とは何か。
ー美味しいものを出す店
ーセンスの良い店
ー店主、店員の人柄の良い店
ー落ち着ける店
ー清潔な店 etc...
もちろん、人によってその条件は異なり、10人いれば、10通りの条件とそれらの優先順位があると思う。
では、それらの条件を満たしてさえいれば、「必ず」その店に行ってよかったと思えるだろうか。
たとえば。
美味しいコーヒーとケーキを出していて、洒落た雰囲気で、かっこいい音楽が流れている喫茶店に行ったとする。
しかし、もしその時に一緒に行ったパートナーとケンカをしていて、一口も口をきけないような状況であれば、コーヒーは美味しくなくなり、こだわりの内装も目に入らなくなり、音楽さえも雑音に聞こえるかもしれない。
こうした悲惨な状況は極端な例だけれど、その時の体調だとか、気分だとか、一緒にいる人だとか、そんなものでその時の店の印象は変わるものだと思う。
もちろん、消費者だけでなくそれは店側も同じで、完全に同じ味のものを出すこと、常にいい感じの雰囲気を出すことは不可能である。
つまり、店に入って飲食をすることは、その都度その都度、「体験」をすることに他ならない。
似ているようでいて、毎度常に違う体験を。
一度行って良くなかった印象の店でも、二度目は「案外悪くないな」と思えるかもしれないし、逆もまた然り。
となれば、せっかくなら消費者は「その体験を味わう」ことを楽しまない手はないのでは?
カレーが特段美味しいわけではなくても、店が別に洒落れていなくても、
近くのインドカレー屋は、「ああ、今日は行って良かった」と思わせてくれた。
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