両手の荷物と永遠の謎(2023.9.29instagramとその続き)

昔行ったラオスの南部、メコン川に浮かぶ島"ドン・デット"には当時電気が一切通っていなくて、夜に空を見上げたら信じられないくらい無数の星が観られるまさに楽園なのだけど、ついでにガスも無いから例えばレストランでココナツカレーを注文したら炭火を起こすところから始まるのでとにかく時間がかかるのです。1時間は普通。2時間くらいかかって出てきたカレーの中のさつまいもは、素材が良いのかじっくり火を通したからなのかとてつもなく美味しかった。単に2時間待ってお腹が空いていただけかもしれないけど。なんにしてもその時間も込みで、価値がありました。

メコン川沿いに建つバンガローも違法建築かかってこいや怖いもんなしなちょっと傾いた建物で、やっぱりそこでも1週間ばかり、1日の主な活動内容は川に洗濯に行くくらいなもので特に何もせずに過ごし、そんな最高な時間が忘れられず数年後もう一度同じことをしに行きました。

20年くらい前のことなので、ちょっと調べてみたら今ではWi-Fiも通ってるらしい。楽園にも文明が。

ボタンの新しいケーキができました。

「さつまいもとりんごのタルト」

じっくり時間をかけて焼いた"なると金時"のフィリングの上には香り高いりんご"きおう"と発酵バター薫るタルト生地。

秋が詰まったケーキになりました。

秋の期間限定です。

明日9月30日から販売スタートします。

数量限定になりますので予定されている方は電話での予約をおすすめします。

ドン・デットのメコン川沿いでいつもどおり何もしないという大切な時間を過ごしていたある日、川の遠くの方にこちらに向かってくるボートが一艘ありました。ボートの中にはみんなお揃いの黒と白の太めのボーダーのシャツを着た、まさに老若男女、肌の色も実に様々な人たちが乗っていて太鼓を叩いたり笛を吹いたり踊ったりしながらこちら岸に到着したのです。

アキ・カウリスマキの映画の中にポイっと放り込まれた様な気分になりました。

彼らはボートを降りてからも演奏や踊りを披露してくれて、島に溶け込んで普通に過ごし、私も彼らと一緒にお茶を飲んだりその中の子どもと遊んだりしたけど彼らがどこから来てどこに行くのかなんかを訊くのはとても野暮な気がして何も聞かず、そのまままた次の日に演奏しながらボートに乗って島を去って行くのを見送りました。

見たところ撮影のカメラもなかったし、チップは控えめに集めてはいたけどそれだけであの人数が全員食べていけるかはどう考えても難しいし。私の中でとても素敵な永遠の謎となりました。

旅行先での現地の人々の普通の生活を垣間見るのはただそれだけで刺激的で興味深いのだけどそれとは全く別の、硬くなってしまった頭では理解できない範疇の出来事みたいなことがたぶんどこでも結構普通に起こっていて、だけどそれをキャッチするには何も荷物を持たない状態にするというなかなかハードな条件が必要で、もう荷物を持ちすぎてカチカチな頭になってしまった今の私には難しくなってしまっているなぁと、ヨシヅヤで秒速で買い物をしている時なんかにふと思ったりするけど、いやいやヨシヅヤでも家の近所でもボタンでも、そこら辺に永遠の謎とかよくわからなすぎておもしろいことなんかは転がっていて文字通り両手にいっぱい荷物持っていてもキャッチできてるからあんまり関係なかったです。

ドン・デットでの生活を思い返してみて、もうひとつ書きたいことがあるのだけど今回は長くなったのでまた今度にします。

(yome)

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