「Mrs.ボビットとMr.シンガー(2024.1.10 instagramとその続き)」

去年、春日井にある古本屋"かえりみち"@kaerimichi.furuhonさんのイベントに参加させてもらった時にジンにも書いたのだけど、1番好きな作家をあげるとしたら迷った挙句にトルーマン・カポーティです。

アメリカ南部出身の彼の初期の作品「誕生日の子どもたち」の女の子"ミス・ボビット"は誰の記憶にもずっと居続ける、チャーミングでお洒落で生意気で儚げで強い女の子。

冬になったら何故か読みたくなるカポーティの本の中でミス・ボビットは苺のような存在感なのです。

それと同時にカポーティ本人もその通りの人だなと、読み始めて20年以上経ってから気付きました。

明日から

「ストロベリーチーズケーキパフェ」

はじまります。

甘くてコクのあるohana農園さんの苺と、チーズケーキ、チーズケーキアイス、生クリームとグラノーラ。

珈琲と一緒に、本を読みながらゆっくり召し上がっていただきたいです。

期間限定となります。


苺にまつわる話としてInstagramにはトルーマン・カポーティの初期の短編の中の少女を取り上げたのだけど候補がもうひとつあってそれはカポーティと同じ時代に生き、同じアメリカ南部出身のカーソン・マッカラーズの「心は孤独な狩人」の聾唖者の青年、Mr.シンガーです。

1930〜40年代のアメリカ南部の独特の空気感、所謂下層と呼ばれる人々の暮らしとそこに当たり前に横たわる人種差別、一晩中開いているカフェでの喧騒、カール・マルクス、ラジオから流れる音楽、やがて始まる公民権運動の兆し、10代の少女の痛々しいまでの繊細さ。

アメリカ南部の空気感になぜか惹かれる人はたぶん私だけじゃないと思っていて、カポーティの作品の中にもそれは存分に感じられるのだけどその心地よさやポピュラリティーを思えばマッカラーズはとっつきにくいし重たい。だけれどもその突筆すべき文才で気がつけば中に引きずり込まれているのです。

誰の心も惹きつける聾唖者の青年Mr.シンガーが、誰よりも大切で愛おしい友人が心の病を患って入院している精神科病院へ友人の大好物である苺を持って、友人の喜ぶ顔を思い浮かべながら向かうのだけど友人は既に亡くなっていて、失意の中電車のホームで食べる苺は心に強くその残像を焼き付けます。

Instagramはなるべくポップなものに寄せて組み立てるからこの場合選ぶのはやっぱりMrs.ボビットなのだけど別にもうそういうのもなくてもいいのかもなぁとか最近考えます。

(yome)

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